2010/11/07

しまごろう

 じつは しまじろうです


名前をおぼえないわたしが そらと遊んでいるとき

「赤でしょ 青でしょ 緑でしょ 黄色の上に  ハイ!しまごろう~!」

と 言ったのを そばで聞いていた娘が すかさず

「しまじろうですけど」 と つっこんで


次に行ったときかな

またおもちゃで遊びはじめたわたしたちに

「あ~ そら ざんねんだねぇ

 みんなのとこには しまじろうが来たのに

 そらのとこだけ しまごろうだったよ~」 なんて言うので

吹き出しながら 「昇格したのよ」 と ごまかして


それからは しまごろうと呼ばれています


名前を言うたびに笑ってしまうのを

だまって許してくれている

じつは しまじろうです

2010/11/06

ひとりで置いていったことなんてないじゃない



夕方 娘の所に寄ったら

「夕飯の下ごしらえをするあいだ

 そらをちょっとみてて」

というので そらと遊んでいたら


たまごを切らしたと言って 

娘がいそいで買いに出ようとした

肩にはいつもの水玉のだっこひも


私の腕にいたそらが 

ママを見上げて必死な顔!

いきなり泣き出した


娘は笑ってかがんで 

そらのほっぺを両手でつつみ

「だいじょうぶ 

 そらをひとりで置いていったことなんてないじゃない

 ほら おいで」

と だっこしてふところに入れた


「ああ あんよが冷たいねぇ ごめんね~」

と だきしめる


ほっぺに涙をぶらさげたまま

そらは私に Vサインのような笑顔をみせた



ふたりがそそくさと出て行ったあと

蛍光灯の下に立ったまま

わたしはしばらく動けなかった


「ひとりで置いていったことなんてないじゃない」

という言葉が 

まるで私の母の口から聞いたように錯覚した


「おまえをひとり おきざりになどしないよ」


どれほどそう言ってほしかったかと

思いがけない 赤ん坊の時の気持ちが浮かび上がってくる

置いて行かれまいと 必死な私の顔が浮かぶ


ほっぺを両手で包みこまれて

「だいじょうぶ 

 ひとりで置いていったことなんてないじゃない

 さあ おいで」


そらが娘のふところに

ぬくぬくとおさまったのを見たとき

赤んぼうの私が いやされていった


60年も前の私から

Vサインを送られたような気がした